南日本新聞 「 行って 味(み)たいな 」 で 紹介されました -- | ||||
口コミで 「 すごく いいぞ 」 と 評判を 聞き、姶良郡 栗野町の 「 かるび庵 」 へ 向かった。 寒気団を持つ 低気圧のせいで、三月というのに 雪が フロントガラスを たたく。 用心しながら 走る。 かるび庵は 開店して 二年足らずだが、すでに 県内一円に 常連客がある。 人気の 理由は 品質主義。 店を 起こした 田中茂さん (48) は、低価格と 品質志向の どちらを 採るかで 悩み、さまざまな 店を 食べ歩いた。 その結果、「 質の悪いものを 多く 食べるより、量は 少なくても 質のいいものを 食べた方が 満足度が 高い 」 という 結論に 落ち着いた。 その 食材の 殆どは、栗野町内で 調達される。 「 もともと 育った所 だから、知り合いが 多い 」 というのが メリット。 専門家の 意見を 聞くことと 生産者の元を 訪れることを 繰り返すことで、あまり 知られては いないが 良質な 素材を 見つけだしていく。 田中さんの お勧めは 牛極上カルビ と 地どりの刺し身。 溶岩を熱して 調理する テーブルに、カルビを 並べる。 とたんに 肉の 脂が 弾け、流れ出した。 「 あんまり 焼きすぎない ほうが いいですよ。すぐに 縮んで しまいます 」 と 田中さん。 アドバイスに 従い、軽く たれにくぐらせて 口に運ぶ。 かむと、肉の やわらかさに まず 驚く。 同時に 口の中は 肉汁とともに ふくよかな 風味が 広がる。 脂と 肉の きめ細かい 交わりが あるからこその 味わいだ。 極上カルビ は、去勢された 黒毛和牛だけを 使う という。 これ以外 だと、バランスのとれた 風味に ならないそうだ。 地どりの 刺し身は コリコリ感と 濃い肉の味が たまらない。 その 絶妙の 素材を 引き立てるのが、自家製の しょうゆ だ。 薄口仕立てで、栗野産の 麦と 大豆で 作られている。 田中さんは 「 工場生産品だと、しょうゆの 味が 強すぎる。 混ぜ物を せずに作った しょうゆなら、素材の 風味を 生かしながらも 一味 足せるんです 」 随所に こだわりが 隠された メニューを 作るには、相当な 苦労が あったはずだが、 田中さんは 「 焼き肉が もともと 好きなんですよ。だから、あんまり 苦にはならないですねえ 」 と 笑い飛ばす。 その 屈託のない 笑顔に、高い 完成度の 秘密を 見た 気がした。 ( 文化部、長野享志 ) |
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